資生堂、緊張によるストレスで皮膚から特徴的なニオイが発生することを発見

Emotional, Burning, Unlimited Tuned Laboratory

資生堂は、皮膚表面から放出される気体(皮膚ガス)に着目し、緊張による心理的ストレスが加わることで特徴的なニオイが皮膚ガスとして放出される現象を発見し、その成分として2化合物を特定しました。
これは、2017年4月に発表した「ノネナール(加齢臭)が皮膚ガスとして皮膚表面から放出されている」という知見に続く皮膚ガスの研究成果です。今回の知見は皮膚ガスが生理的に重要な指標であり、心理的変化も捉えることが出来ることを示すものです。また、このニオイに対して、強いニオイでマスキングするのではなく、ニオイを包み込んで目立たなくする独自のSTアンセンティッド技術を開発しました。
※本研究は第36回日本生理心理学会で発表しました。

皮膚ガスの特性

皮膚ガスは体調、加齢、情動、食事などを反映して変化します。皮膚ガスの中にはアセトンなどほぼ無臭のガスもありますが、ノネナールや食べた物に由来するニオイのガスもあり、本人や周囲がそのニオイを感じることがあります。

緊張によるストレスで発生するニオイの発見

資生堂は長年にわたり、調香師による香りの創出だけでなく、臭気判定士による体臭の研究を行ってきました。その中で、人が緊張によるストレス状態にあると硫黄化合物のような特有のニオイが発生することに気づきました。この現象を科学的に確認するために、インタビューストレス試験*1を実施した結果、この特有のニオイの発生には再現性があることを確認しました。
*1 初対面のインタビュアーからの質問に20分間回答し続ける試験。本試験では、リラックスしている時と比べて、心拍数が増し交感神経が優位となり、さらにはストレスホルモンと言われるコルチゾールが唾液中で増加し、緊張によるストレス状態を生じます。

特徴成分の特定

緊張によるストレスで発生するニオイ成分が何であるかを分析するため、インタビューストレスを受けた人の皮膚ガスを、中の空気を純窒素ガスに置換した専用の器具を用いて採取しました。採取した全ての人の皮膚ガスを臭気判定士が確認した結果、特有の「硫黄化合物系のニオイ」がすることを発見しました。さらに、このニオイの原因となる物質を特定するためGC/MS-ODP*2を用いて分析した結果、主要成分がジメチルトリスルフィド(dimethyl trisulfide, DMTS)とアリルメルカプタン(allyl mercaptan, AM)であることを見出し、この2成分を「STチオジメタン」と名付けました。
*2 GC/MS-ODP:匂い嗅ぎ付ガスクロマトグラフ質量分析計。分析と同時にニオイの確認ができる装置。