ユネスコが「軍艦島」展示内容に「強い遺憾」

前代未聞の決議採択に軍艦島の元島民は怒りを抑えきれなかったという。この背景を検証すると、国を挙げた韓国の働きかけと「徴用工」訴訟を支援する日本の市民団体の存在が浮かび上がる。ユネスコが元島民の声に耳を傾け、本来の役割に立ち返る日は来るのか。

オリンピック開会前夜のことである。会議室のモニターで、中国の福建省福州で開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会(オンライン形式)を見ていた。田学軍議長は「明治日本の産業革命遺産についての決議を審議なしで採択する。なお、決議に関する声明や宣言は一切行われない」と発言。長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」について、ユネスコは7月22日、戦時徴用された朝鮮人労働者に関する「産業遺産情報センター」の説明が不十分だとして「強い遺憾」を盛り込んだ決議を採択した。決議に付されたユネスコとイコモス(国際記念物遺跡会議)の合同調査報告書は、日本政府が東京都新宿区に開設した「産業遺産情報センター」の端島炭坑の展示に対し、「犠牲者を記憶にとどめる」措置としては、「より暗い側面」を含め「多様な証言」を提示するよう求めている。審議なしの議長裁定であり、極めて政治的な決議であった。世界遺産条約においては、歴史解釈における国家の主権が認められている。ユネスコが調査団を派遣し、「保全」の問題ではなく「展示」で是正の決議をするのは前代未聞である。