2012年にできたばかりの会社が、業界を変えようとしている。AI創薬のパイオニア・Exscientia(イギリス)だ。今年1月、大日本住友製薬との共同研究で、業界平均で4年半を要するとされる探索研究を12カ月未満で完了したことを発表。すでに臨床試験が開始されており、これが成功すれば、世界で初めて、AIと人間が手を携えて作った新薬が誕生することになる。
そもそも新薬はどのようなステップで作られるのか。まず、(1)疾患を引き起こしている原因物質(たんぱく質)を探す。次に、(2)原因物質に作用する化合物を選ぶ。前述の研究でAIが威力を発揮したのはこのステップだ。これとほぼ同時並行的に、(3)動物モデルによる試験で化合物に毒性がないか、体内で安定的に作用するかなどを確かめ、(4)臨床試験へと移る。