東京大学合格を目標に開発が進められている人工知能(AI)「東ロボくん」が、東大入試を断念した――先日、こんなニュースが話題になった。同プロジェクトを主導している国立情報学研究所(NII)は11月14日、東ロボくんに関する2016年の成果報告会を実施。「センター試験を『人間と同じように』解く取り組みは今年度で凍結する」(NIIの新井紀子教授)としつつ、これまでの成果と今後の展望を明かした。
「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトは、NIIが2011年にスタート。大学入試問題を指標にAIの進化を客観的に測ることを目的とし、16年までにセンター試験で高得点を獲得、21年春までに東大の入試を突破できる人工頭脳の開発を目指してきた。
だがこのほど、東大合格を断念する方針を発表。新井教授は「(AIの進化を客観的に測る)プロジェクト自体は成功した」としつつ、「東大を(人間と同じように)目指そうとすると、全ての分野を強化しなくてはいけない。AIにとって難しい『意味を理解する』という分野を突き詰めようとすると、膨大な時間とコストがかかる」と話す・・