2016年12月7日に発表された10月の景気動向指数速報値で、一致指数はまとまった幅で2カ月連続の上昇を記録した。判定の条件が満たされたため、内閣府はこの指数の基調判断を「足踏みを示している」から「改善を示している」に引き上げた。判断の上方修正は22カ月ぶりのことであり、景気のベクトルは足踏み・横ばい状況を脱して、上向きに変わったと言うことができるだろう。
今の日本経済の最大の特徴は「エースピッチャーの不在」だと、筆者は位置付けている。相応の力強さを伴って持続的・安定的に経済を成長させる需要項目が見当たらない中で、何人ものピッチャーによる継投策により日本経済はなんとかしのいで、小幅のプラス成長となっている。2016年秋からは電子部品、半導体製造装置、普通乗用車などの輸出が好調に推移して、景気を持ち上げている。